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2006年3月20日 (月)

刑法

書きなぐソ陪審「死刑制度⑪」から。

「テレホンカード偽造問題」(テレホンカードはもう古いが、それに類似する磁気カードと考えていただければ。)
1、テレホンカードは有価証券か?
2.もし有価証券と仮定した場合、NTTという記名がない場合はどうか?
  ホワイトカードはどうか?
3.真性に成立したテレホンカードの度数を50度から1999度に変更すると何の罪になるか。
  また、0度から1999度に変更すると何の罪になるか。

あいた…
これをもって「刑法にも複数の解釈ができる」というのは痛いですぞ、もりー。
刑法に定められているのは
「有価証券を偽造すれば犯罪だ」
であり、
「じゃ、テレホンカードはどうなるんだ?」
は個々具体的な話になる。
根本的な部分で刑法に対する理解が…

もりーが挙げている

「論点&演習 事例刑法」 JKブックレット司法試験 自由国民社刊

なる本は読んだことがないが、タイトルを見よ、タイトルを。

事例刑法」

になっちょるではないか。
刑法」ではないではないか。
要するに、
「刑法では有価証券を偽造すると犯罪になる。さて、テレホンカードなどといった法が想定していなかったケースが発生した。構成要件に該当するか」
でしょ。

これは僕が書いた「使用窃盗では解釈が分かれる」というものとは根本的に違うものだということに気付かなかったのか?

僕が書いたのは単に一点のみ。

刑法の条文に違反すれば処罰の対象となる。

それだけ。
つまり、使用窃盗の場合は無罪か有罪かという相反する解釈が存在する。
でも、有価証券を偽造した場合に有罪か無罪かという相反する解釈は存在しない。

テレホンカードは有価証券かどうか、では解釈が分かれても、有価証券偽造が有罪かどうか、という点では解釈は分かれない
テレホンカードが有価証券と認められれば有罪、違えば無罪。
有価証券偽造罪という規定そのものにおいては解釈は分かれない。
従って、もりーが書くところの

まず「1」の段階ですら解釈が3通りに分かれるとされています。
これはすなわち刑法162条の解釈です。

という部分は、「有価証券偽造罪」の解釈を論じたものではなく、
「テレホンカードを偽造した場合、どの罪状を当てはめるべきなのか」
という議論なの。
分かる?

「162条の解釈」を論じたものではなく、「162条を適用するためのハードル」を論じたものに過ぎない。
もっと言うと、

「相手が殴りかかろうとしたから刺し殺した」

という事例が発生した時には、まずそれが「急迫不正の侵害行為か」が論じられる。
「殴ろうとしただけだから、殺すのは過剰防衛」となれば殺人罪適用。
「殴り殺す意思があったから正当防衛」となれば正当防衛成立。

「正当防衛は有罪か無罪か」を論じる人はいませんわな。
でも、正当防衛を成立させる要件を論じる人はいます。

もりーが挙げたのは、その部分なの。分かる?
有価証券偽造が有罪か無罪かを論じる人はいませんわな。
でも、有価証券偽造を成立させる要件を論じる人はいる。

使用窃盗つーのは「何を盗んでも返す意思があり、返せば無罪」なの。
でも有罪説を採る人は「何を盗んでも、その間に磨耗した部位に関しては窃盗罪が成立する」なの。
「使用窃盗は有罪か無罪か」で議論が分かれる。
まぁ、これも運用面での議論ではあるんだけど…。

「刑法の条文に複数の解釈がある」
というのは、「殺人罪は有罪か無罪か」というトンデモ議論であって、そのような議論はできない。
できるとすれば、その条文は改廃される。
尊属殺人がそうですな。

「親を殺せば死刑」

ですが、「親であっても人であることに違いはない」という議論があり、廃止されました。
近年では強姦罪が議論されておりますな。
女が男を犯した場合、なぜ強姦罪が適用されないのか。
これが「条文解釈の幅」であって、しつこいようだが、もりーが勝ち誇ったように書いてるのは
「運用面における幅」
に過ぎないわけです。
よって

つまり、霧鈴が主張する
いえ、「論理詰めで」構成することは可能ですが、
「数学的」に、たった一つの答えを導くことは絶対に不可能です。
は明らかに「違わない」と断言させていただきます。

はやはり「違う」と断言させていただきます。
「条文に違反すれば逮捕される」
なわけです。
逮捕する際に「どの条文を適用すればいいのか」で様々な解釈が生まれる。
その程度のことは百も承知。

残念でしたな。
繰り返しますが、僕が刑法を専門的に学んだのは10年以上前。記憶はかなりあやふや。
それでも、この程度のことは理解しちょりますぞ。
「刑法は理詰めでなければならない」という僕の主張を論破したければ、刑法を専門的に勉強しなされ。
「刑法の運用」ではなく、「刑法」そのものをね。

同じ解(刑罰)を論議するのには同じ10進法(単位基準)でしなければならないはずなのに、
なぜだかキチガイ(心神耗弱者)やクソガキ(未成年)は違う2進法(適法基準)とかで計算される。

なんですが、要は「こういう人が違反した場合は適用を除外する」ということまで定めているのが刑法なんです。
逆に言えば、「それ以外の連中には厳密に適用する」ということを謳っているわけ。

あ、もりーの文を読み直してみたら、墓穴掘ってら。

これを見るとどの刑事事件に対しても2~6通り(平均3通りくらいですかね)の解釈がそれぞれつけられています。

はいはい。
「どの刑事事件に対しても」
ね。
「刑法のどの条文に対しても」
ではない、ということですな。そりは。

はぁぁぁぁぁぁ~~~
この程度のことも理解できずに刑法を論じるとは…
ま、お疲れ様でした、とでもいっときましょうかね、今回は(w

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