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2006年4月23日 (日)

宗教のゲーム化2

さて、以前に「宗教のゲーム化」なる記事を書きました。

「書きなぐソ陪審」の反応(てんやもの

新・えせ記者徒然 の 宗教のゲーム化 は、かなりセンシティブな問題を内包しつつ(どのメーカーも作らないことを見ても明らか)も、世界に向けて「問題提起」の意味で非常に良いものではないかなと賛同します。

なぜにセンシティブかというと、「霧の中の鈴」の反応(ゾロアスター教と『イラン的イスラーム』

それを受けて、このエントリーで宗教の話を書きました。
黄色い四角で囲まれた部分は、ストレートで少しショッキングですが、
おそらく現実にあったであろうことであり、考えさせられます。

宗教のゲーム化について、積極的に賛成しているわけでもありませんが、
少しでも宗教の話題に触れることで、
世界情勢を深く理解することに努めようと思います。

その「黄色い四角で囲まれた部分」とは以下の通り(再掲)。

1つ目。

プレイヤーは最初にユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒(ムスリム)、仏教徒など各宗教の中からどれかを選び、ある程度史実に沿って、例えばユダヤ教徒を選んだ場合は、キリストを処刑するイベントなども盛り込みながら、信者数を拡大していく。
宗教国家を造り、敵対宗派と戦争し、勝てば相手国に改宗を強制できる。
改宗した人たちは、その滅ぼされた地域の統治者になれるが、改宗しなかった人は奴隷として扱うことが可能で、それらの筋書きの中で、ボスニア紛争とか、コソボ紛争などといった宗教紛争が多発していく。
果たしてキリスト教は世界を席巻できるのか、はたまたイスラムが覇権を握るのか、もしくは宗教戦争とはほとんど縁がない仏教が世界宗教となるのか…

2つ目。

イスラムを選んだプレイヤーは、十字軍による侵攻で親や子どもを殺され、妻がレイプされるのを目の当たりにする。憎しみが憎しみを生み、キリスト教との徹底抗戦を選ぶ。
んで、テロ組織を結成し、各地でテロ活動を行う。
ある分岐点で
「自爆テロを行いますか」
との選択肢が提示されて、標的を選んで、テロを慣行する。
その時の信者数によって、成否が分かれ、成功すれば、「9・11イベント」が発生し、相手国が戦争を仕掛けてくる。その時に戦士として参加するか、テロ組織のメンバーとして、各地でテロ活動を活発化させるかを選ぶ。
エンディングは「天国」か「地獄」、という感じ。

霧鈴が「おそらく現実にあったであろうことであり…」「ショッキング」としている部分が具体的にどの部分を指しているのか不明なんですが、おそらく、

宗教国家を造り、敵対宗派と戦争し、勝てば相手国に改宗を強制できる。
改宗した人たちは、その滅ぼされた地域の統治者になれるが、改宗しなかった人は奴隷として扱うことが可能で、それらの筋書きの中で、ボスニア紛争とか、コソボ紛争などといった宗教紛争が多発していく。

イスラムを選んだプレイヤーは、十字軍による侵攻で親や子どもを殺され、妻がレイプされるのを目の当たりにする。憎しみが憎しみを生み、キリスト教との徹底抗戦を選ぶ。

の部分ではないかと。

これは「おそらく」ではなく、歴史上の出来事です。
軽く解説しておきます。あくまでも「軽く」ね。
間違ってる部分もあるかもしれないけど、大枠で。

まずボスニア
もともとはキリスト教圏でした。住人はスラブ系民族。
オスマントルコの侵攻により、ボスニアはオスマン帝国下に組み入れられました。
が、オスマン帝国が苛斂誅求を極める圧政を行いました。
支配者はムスリム(イスラム教徒)、被支配者はクリスチャン。奴隷状態。
そこで、一部クリスチャンはイスラムに改宗し、オスマン帝国に取り入る方法を考えました。
その方法は上手くいき、
「イスラムに改宗すれば支配者として振る舞える」
という図式が出来上がりました。改宗したスラブ人は、かつての同胞を情け容赦なく搾取しました。

その後、オスマン衰亡。ボスニアから撤退した帝国の庇護を受けられなくなった現地のイスラムは、本当はスラブ人なんだけど、過去の経緯から
「俺たちは『モスレム』という民族だ」
と主張し、クリスチャンたちと紛争を繰り返しました。

コソボ
ボスニアとほぼ同じ経緯をたどりました。
が、あまりの圧政にコソボ人はコソボから集団で逃げ出しました。
主なき地にオスマン帝国はアルメニア人を大量に入植させました。ムスリムです。
クロアチア人も入植させ、奴隷化しました。
オスマン撤退後、コソボ人が「もともとは俺たちの土地だ」と帰還。
コソボは、アルメニア人、クロアチア人、コソボ人(スラブ人)が血で血を洗う紛争を始めました。

第二次大戦下、ナチスの侵攻に対し、チトーがパルチザンを敢行。
複雑な民族状況に置かれた地域を、チトーのカリスマ性で統一し、ユーゴスラビア連邦が成立。
民族紛争が終結し、共存の時代が始まりました。

が、その数十年後、小役人・ミロシェビッチが登場。スラブ人に
「もう二度と君たちの頭を殴らせない」
とくだらん演説をしたことで、ユーゴは再び救いようのない内戦状態に。
過去の怨恨から、殺す、犯すは当たり前。
昨日までは隣人として仲良くやっていた人たちが、いきなり殺し合いを始めました。

次に十字軍。
エルサレム奪還が目的とされています。もちろん、それもあるんですが、真の目的は
「ムスリムの皆殺し」
パレスチナの地は、道に膝の高さまで血の川が流れるほど凄惨な殺戮が行われたといわれています。

西洋人が行うどのような「侵略」も同じなんですが、まず男を全て殺す。
そして女を犯す。
それによって、民族の純粋な血統を絶やす。
それが常套手段です。スペインのピサロがやったのもこれですね。

ついでに、以下の説については僕は多少、疑問を抱いているんですが、一応、参考までに書いておきます。
十字軍やらルネッサンスが起こった原因について。

ヨーロッパでは「暗黒の中世」と言われます。
「暗黒」の意味ですが、「魔女狩りが行われた悲惨な時代」というとらえ方もできますし、「記録が残っていない」というとらえ方もできます。
僕の知識、調べ方が足りないんでしょうが、僕は「暗黒の中世」=「記録が残っていない時代」と把握しています。

その原因には「魔女狩り」などもあります。
薬草を摘んで、民間医療を施すような知識、経験を持った老人を「魔女」(魔女、といいますが、男も含まれています)と称して異端審問にかけ、殺し尽くした。
ついでに、教会が認めた文献以外は全て焼き払ってしまった。

「死海文書」とかいまだに騒がれていますよね。
あれは当時、焚書を免れた貴重な文献です。
キリスト教にも多数の派があり、ある特定の派(名前は忘れた)が実権を握った。その派が認めたもの以外は全て「異端」として処分した。都合のいいものだけを採用し、時には捏造まで行ったといわれています。
つまり、今の新約聖書は、本当はもっと様々な内容が含まれるべきだったのに、教会側の都合で今のような形になり、歴史の真実は闇に葬り去られた。

文化が極端に後退したわけです。数学も哲学も医学も、全てが葬られた。
当然、国家も弱体化する。
そこにオスマン帝国が拡張し、ヨーロッパを支配下に置いた。
キリスト教徒にとっては屈辱的極まりない出来事です。

でも、ヨーロッパで花開いたイスラム文化はオスマン帝国の衰退とともに、キリスト教徒によって徹底的に破壊されました。
キリスト教側にはイスラム側に対する、拭いがたいルサンチマン(怨恨)があるわけです。
だから、徹底的に、何もかもを破壊した。

ルネッサンスを「復古運動」と呼びますが、あれは「昔の文化、芸術を見直そう」ではなく、
「イスラム色を徹底的に排除したら、残ったものは昔の文化、芸術しかなかった」
というものだそうです。

十字軍もそのルサンチマンから運動が起こります。
「やられたからやり返す。イスラムをこの世から抹殺する」
だから、とてつもなく凄惨な殺戮が行われた。

…と。まぁ、どこまで本当なのか、時間があるときに調べてみますが、十字軍に関しては
「聖地奪還など、どうでもよかった」
というのは本当らしいです。

でもって、十字軍の時のルサンチマンが残ってるから、イスラム側はキリスト教を「至高」と掲げる集団を毛嫌いし、警戒する。
「国際赤十字」は世界中で認知されている感がありますが、イスラム圏では「赤十字」は十字軍を連想させるので、絶対に使わないそうです。

「どこが軽い解説だ!」
などと言われてしまいそうですが…

いずれにせよ、そういった宗教絡みの不幸な経緯なども踏まえつつ、
「歴史と現状を理解し、解決策を模索するには」
というスタンスでゲームを作れないかな、と。

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