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2006年5月 1日 (月)

国家の品格って

国家の品格

一言で言うなれば、保守系の書籍。
「日本の”品格”を取り戻せ」
という内容です。

少し前に読んだものです。
その後も大量の書籍を読んでいるので、具体的な記述に関する詳細はあいまいになっていますが、過去に大量に出版されている保守系の書籍の中では異彩を放っていますね。

というのも、過去に僕が読んだ保守系の書籍には、
「過去の日本人は気高く、堂々としていた。日本人の精神土壌を取り戻せ」
と徒に「愛国心」をかきたてる内容が多かった。
つまり、「過去の栄光」をいつまでも引きずっている感が否めない。

僕は保守派で、それらの本を大量に読んできたんですが、読むたびに、
「またこれかよ…」
とうんざりしていたところに、「国家の品格 」の登場です。

著者・藤原正彦氏は数学者だそうで、導き出される結論は他の保守系の書籍と代わり映えしませんでしたが、そこに至るアプローチは、今までに触れたことのない斬新な内容でした。

とりあえず目次を引用させていただきます。

第一章 近代的合理精神の限界
すべての先進国で社会の荒廃が進行している。その原因は、近代のあらゆるイデオロギーの根幹を成す「近代的合理精神が限界にぶつかったことにある。

第二章 「論理」だけでは世界が破綻する
「論理を徹底すれば問題が解決できる」という考え方は誤りである。帝国主義でも共産主義でも資本主義でも例外はない。「美しい論理」に内在する四つの欠陥を指摘する。

第三章 自由、平等、民主主義を疑う
自由と平等の概念は欧米が作り上げた「フィクション」である。民主主義の前提条件、「成熟した国民」は永遠に存在しない。欧米社会の前提を根底から問う。

第四章 「情緒と形」の国、日本
自然への感受性、もののあわれ、懐かしさ、惻隠の情…。論理偏重の欧米型文明に代わりうる、「情緒」や「形」を重んじた日本型文明の可能性。

第五章 「武士道精神」の復活を
鎌倉武士の「戦いの掟」だった武士道は、日本人の道徳の中核をなす「武士道精神」へと洗練されてきた。新渡戸稲造の『武士道』をひもときながら、その今日性を論じる。

第六章 なぜ「情緒と形」が大事なのか
「情緒と形」の文明は、日本に限定すべきものではない。そこには世界に通用する普遍性がある。六つの理由を挙げて説く、「情緒と形」の大切さ。

第七章 国家の品格
日本が目指すべきは「普通の国」ではない。他のどことも徹底的に違う「異常な国」だ―。「天才を生む国家」の条件、「品格ある国家」の指標とは。

内容全般を通してみると、少し前に出版された、前野徹氏による「新・歴史の真実―混迷する世界の救世主ニッポン 」と瓜二つ。
武士道を大切にせよ、だの、愛国心と国益主義とは別物だ、などなど。

「歴史の真実」もそこそこ売れたようですが、「国家の品格」は破竹の勢いで発行部数を増やしています。

聞くところによると、読者は賛否両論。いずれも「激しく賛成」か「激しく反対」かのいずれからしいです。出版社側は「これほど激しい反響を呼んだ書籍も珍しい」とのこと。

欧米流の「論理至上主義」を木っ端微塵に打ち砕く、というスタンスに「論理至上」を信奉している人は反発するんでしょう。
が、一方で次々と崩れていく日本のモラルについて、疑念を抱きつつも理由が分からなかった人たちにとっては、一定の指針を示してくれる絶好の書籍になったに違いない、と思います。

僕自身、「論理だけでは人は生きていけない」と思っているんですが、藤原氏ほど明確に、
「これこれ、こうだからダメなんだ!」
と、ズバッと言い切ってしまう論調は初めて見受けました。そこが本書の最大の魅力ではないかと思います。

ただ、あまりにも大胆すぎて、「?」と感じる部分はあるにはあるんですが、あらゆる点で「一理あるな」と思わせる部分多数。

「面白いかどうか」
と聞かれると、
「まぁ、それなりには…」
ですし、鵜呑みにしてはいけないんじゃないか、と思う部分も多々。
でも、賛否に関わらず、ベストセラーなんだし、一読の価値はあると思います。
他の保守系書籍よりは、はるかに読みやすいですよ。

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