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2006年9月18日 (月)

台風で新聞記者が行方不明~記者の殉職

台風13号が日本海に抜けました。ブロック紙(だったと思う)の新聞記者、27歳が取材に出かけたまま行方不明になっています。

27歳って、ようやく仕事に慣れてきて、プロ意識が芽生え、記者の仕事が面白くって仕方ない…という年齢です。
新卒で入社したとすれば、僕の経験から照らし合わせれば、バリバリの若手で、気力、体力ともに充実してて、先輩や上司に怒鳴られることも少なくなり、手下(「てか」と読んでね)がつくぐらいの年ですね。

これを書いてる段階では、依然「行方不明」のままなんだけど、九州地方を襲った台風13号のテレビ中継などを見て、
「行方が分からなくなってるだけ」
と思う人はいないでしょう。

仕事柄、「だれそれが行方不明」などという原稿は大量に書いてきたし、紙面化してきたけど、記憶に残っている限り、行方不明者が生きていた、という話は書いたことも読んだこともありません。

世界では毎年、何百人ものマスコミ関係者が殉職しています。
多くは従軍記者なんだけど、朝日新聞阪神支局襲撃事件のような「殉職」もあります。
僕が働いてる会社でも、過去に何人かが取材中に命を落としています。

そう。こんなお気軽で能天気なブログ書いてる僕でも、いつ死んでもおかしくない
徒にマスコミ批判をする人たちも多々いますけど、僕ら業界人だって命がけで報道の仕事に携わっているわけです。

一昨年だったかな?
台風上陸が相次いで、日本中に大被害をもたらした年がありました。
直後に新潟中越地震が起きたこともあり、多くの人は記憶から薄れているかもしれませんが、あの時、僕は日本海側の通信部で仕事をしていました。

強風と大雨で、夕方6時ごろにメシを食いに行こうと外に出たら、道路は完全に冠水していて、どこがセンターラインなのか分からない状態。
というか、どこが道路なの? 状態。
要するに出かけられない。
その夜はカップラーメンをすすって空腹をしのいだ後、時々、関係機関に被害状況を問い合わせて、あとは徹夜で待機。

一夜明け、テレビを見ると兵庫県豊岡市、水没。
比較的近くだったので、上司に「応援に行く」と伝えて現場に向かいました。

当地の支局に到着すると、所属記者連中はグッタリ。
どうしたのか質問してみると、
胸のあたりまで浸水してる時に、堤防の決壊現場に取材に行った
とか、
冠水した道を強行突破して災害現場に行ったら、川の水が逆流して一気に増水したため完全に孤立し、風雨にさらされながら民家の屋根で一夜を過ごした
とか。

そいつらに言いましたね。
「お前ら、バカか」
って。
普通に仕事してるだけでも死ぬことがあるような職業なのに、これからますます災害がひどくなるって時に現場に向かうのは自殺行為に等しい。

「記者魂」
と言えばカッコいいかもしれないけど、連中の言葉を聞いてると、結局は現場の状況を把握してない本社のエライさんに
「現場に行け」
って言われたから行っただけ。
命令したデスクもデスクなら、状況も見ずに現場に向かった記者も記者で、どっちもどっちですね。
怪我人は数人出たけど、死者がいなかったのが不幸中の幸いです。

さて、今回の台風で行方不明になっている記者は、どういう経緯で取材に行ったのか。それが気になるところです。

自らの意思で行ったのなら、それは本物の「記者」だし、殉職しても堂々と「プロとして命を落とした」と言えるでしょう。
けど、上司や先輩の命令で行って、行方不明になったのなら、無礼を承知で書かせてもらうと、
「取材不足だった」
としか言いようがありません。

何らかの方法で被害状況をしっかりと取材して、いまどのような状況下にあるのか、しっかり把握していれば、
「巻き込まれる可能性は十二分にある」
ということは事前にある程度分かるはずで、ベテラン記者はそういう準備をしてから、出るべきか、出ざるべきかを判断しています。

行方不明者に対してこんなことを書くべきじゃないのは重々承知していますが、今後も僕と同じ業界の人間が同じような目に遭わないことを願って、あえて書かせていただきます。

行方不明になった記者、要は「記者として未熟だった」ということです。

もしくは、本当に自らの意思で報道に命をかけたのか、どちらか。

すべてを把握した上で危険な現場に赴くことは「勇気」と言えましょうが、命令されたからといって盲目的に現場に向かうことは「勇気」とは呼びません。「盲従」であり、単なるロボットです。

ところで、僕が体験した台風の取材ですが、上記の通り、僕が勤めていた通信部周辺ですら既に派手な冠水がありました。
電話で関係各所に問い合わせたところ、数メートルの床上浸水が多数出ており、現在、救命ボートで救出作業中、という返答がいくつもありました。
デスクに
「こっちではこんな状況です」
と報告すると、
「取材して写真撮ってこい」
との命令。

で、数十分後、再びデスクに電話して
「冠水がひどくて、たどり着けません」
「なんとかならないか」
「完全に水没して、目視不可能な距離までしか行けません。現場まではとても無理です」
ということで、デスクはあきらめました。

もちろん、その夜、僕は一歩も外に出ずに通信部でカップラーメンすすって、パソコンでゲームしてたあhふぁらうお

「報道の使命」ってのは確かにあるけど、命かけるほどのもんじゃないっす。

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